大腸カメラ(下部消化管内視鏡)検査を受けられる方へ
大腸カメラは、正式には下部消化管内視鏡検査といいます。
便潜血陽性の際の大腸の検査、大腸ポリープの経過観察、炎症性腸疾患の診断を対象とし、大腸(結腸と直腸)を観察します。
大腸を観察するには、どうしても空気を入れる必要があり、この空気は腸に吸収されにくいため、すぐに排出・吸収されずお腹が張ることによる不快感や気分不良があります。
そこで当院では、非常に細くて軟らかいタイプの内視鏡を使用したり、検査時に鎮痛剤の注射を行うなど、患者様の苦痛を軽減するために様々な工夫を取り入れておりますので、どうぞ安心してご相談下さい。
※ 治療の必要なポリープの見つかった方は、ポリープを切除できる病院へご紹介致します。
※ 当院では不安の強い方のために麻酔(眠くなる薬)を使用しての検査が可能です。
※ 土曜・日曜にも検査を行っていますので、平日忙しくて他では検査のできない方もご相談下さい。
大腸カメラで分かる主な疾患
- 大腸癌、大腸ポリープ
- 潰瘍性大腸炎、クローン病
- 虚血性腸炎
- 感染性腸炎
- 大腸憩室症
- 内痔核
◆ 以下のような症状がおありの際には、ぜひ、大腸カメラ検査お受け下さい。
- 健診で便潜血陽性になった
- 便秘がある、または便秘がひどくなった
- 細い便が出る
- 下痢が続く、下痢に血が混じる
- 排便後に出血がある
- 便に血液が混じる
- お腹が張る、腹痛がある
定期検診のススメ
大腸癌は、男女とも増え続けています。
食生活の欧米化に伴い高脂肪高蛋白の食事が影響しているものと考えられ、近い将来死因のトップとなると予想されており、昨今の健診では通常、便潜血検査を2回行っています。
しかし、この検査では早期癌はほとんど見つからず、進行しても十分な検出はできないことが分かっていますので、便潜血検査で異常がなくても大腸癌の可能性を否定できないということになります。
大腸癌の多くは、大腸腺腫という良性腫瘍(大腸ポリープの大部分)を経てゆっくりと大きくなってきます。つまり、大腸腺腫の段階で内視鏡的に切除してしまえば、体にも少ない負担で予防できるのですが、大腸癌として発見された場合には、内視鏡的に切除できる割合は減少し、長期入院での手術、時には抗癌剤での治療という大変大きな負担がかかることがあります。
そのため、たとえ無症状であっても定期的に大腸カメラ検査を受けて頂き、大腸癌・大腸腺腫(ポリープ)を検査・治療して予防に努めることが重要となるのです。
大腸カメラQ&A
Q1. 便潜血陽性の場合、大腸カメラを受けないといけませんか?
A1. 便潜血陽性を指摘された方は、大腸の精密検査をする良い機会だと考えてください。
大腸にがんがあるかどうかの検査として、便潜血の検査は広く行われています。
でも、これまでの統計では、便潜血陽性の方のうち、95%以上の方は、大腸がんではありません。
実は、痔やポリープからの出血や、腸の炎症の病気が原因のことが多いのです。しかし、便潜血陰性の方に比べると、10倍、がんの確率が高いので、無症状のうちに病気を見つける良い機会だと考えてください。
Q2. 大腸カメラは苦しいのですか?
A2. 下剤や腸の洗浄液を飲んだり、楽とは言えない検査ですが、大腸がんは、早期に見つけてしまえば、ほぼ100%治癒できます。
大腸には通常、便が溜まっています。大腸に病気がないか詳しく観察するためには、視界を遮る便が無くなるように、検査前夜に下剤の服用が必要です。それでも、大腸内に残っている便がありますから、検査当日の朝から、腸管洗浄液を飲んで頂きます。腸管洗浄液の味はスポーツドリンクに似ているとおっしゃる方もいます。飲む量の目安は2リットルです。どうしても飲むのが難しい方は、浣腸を併用することもあります。
楽とは言えない大腸カメラですが、大腸がんの前段階である、線種(一般的にポリープと言われています)のうちに切除してしまえば、日帰りか1泊2日の内視鏡手術で治療してしまえます。また、早期がんの状態で見つかっても、今はお腹を切る手術をしないで、内視鏡を大腸に入れて、がんを削り取って完全に切除することができます。
Q3. 大腸内視鏡の検査は、いくらかかりますか?
A3. 状況によって費用は変わります。
大腸内視鏡検査では、特に病変がなく、観察のみで終了する場合もあれば、鎮静剤を使用されたり、組織検査をされることもあるので、費用はその方によって変わります。
目安は・・・
- 3割負担の方で、5,000円~13,000円程度
- 1割負担の方で、1,700円~5,500円程度(※当院での費用。再診料含む)
大腸線種(ポリープ)が見つかった場合、当院では入院病床がなく、治療を行っておりませんので、治療のできる病院へ(ご希望の病院を指定して頂けます)ご紹介しております。
大腸カメラについて、よくあるご質問
◆ Q&A1. 便潜血陽性と言われました。大腸カメラを受けないといけませんか?
- このまえ、検診を受けたら、「便潜血陽性」って言われたんです。…私、大腸癌なんでしょうか…。
- 大腸に癌があるかどうかの検査として、便潜血の検査は広く行われています。
でも、これまでの統計では、便潜血陽性の方のうち、95%以上の方は、大腸癌ではありません。 - え、95%以上、癌じゃない?
- はい。実は、ほとんどの方は、痔やポリープからの出血だったり、腸の炎症の病気からだったりします。
- 陽性だったら、絶対に癌かと思っていました。
- 検診というのは、病気そのものを見つけると言うよりも、病気の確率の高い方をふるいわける、という意味があります。便潜血陽性の方の、5%足らずの方しか癌ではない、というと、低いように感じられるかもしれませんが、便潜血陰性の方に比べると、これでも10倍、癌の確率が高いんですよ。
- じゃ、大腸癌の危険はあるって、ことですね
- はい。「便潜血陽性」を指摘された方は、大腸の精密検査をする良い機会だと考えて下さい。
「便潜血陽性」の方は、大腸内視鏡検査を、保険を使って受けることができますから、費用の負担が減ります。癌の危険があることも考えて、ぜひ一度内視鏡検査を受けて頂きたいです。 - でも…とくにこれと言って、症状ないんですけど…。
- 検診は、無症状のうちに、病気を見つけるのが目的です。一般的に、無症状の段階の癌でなければ、完全に切除して、治癒することが、難しいからです。でも、症状がないのに検査を受けようと思う人はなかなかいませんよね。そこを、便潜血陽性という結果が、後押ししてくれたと考えてください。
今が、手遅れにならないですむ、チャンスかもしれないのです。
◆ Q&A2. 大腸カメラって、苦しいですか?
- 大腸カメラの検査って、苦しいって聞くんですけど…。
- 初めて受けられる方は、大抵、心配して来られますね。
- 検査も心配だし、その前に下剤も飲まなきゃいけないんですよね?
- 大腸には通常、便が溜まっていますから、大腸に病気がないか、詳しく観察するためには、視界を遮る便が無くなるように、検査前日の夜に下剤を服用して頂きます。それでも、大腸内に残っている便がありますから、検査当日の朝から、腸管洗浄液を飲んで頂きます。
- なんかその、腸管洗浄液を飲むのって、大変だって聞いたんですけれど…。
- 味については、特に抵抗はないと言われる方もいれば、おいしくないと言われる方もあり、様々です。スポーツドリンクに似ていると、言われる方もいます。何回も検査を受けておられる方は、昔よりは大分味が良くなったとも言われます。冷やして飲むと、飲める、という方が多いです。また、果物味の飴などは、検査前でも食べて頂けるので、飴をなめながらだったら飲める、という方もいらっしゃいます。ご本人の一番飲みやすい状態で、飲んで頂ければ結構です。
- どれくらいの量飲むんですか?
- 2リットルは、飲んで頂きたいですね…。
- えっ! 2リットル!そんなに飲むんですか!?
- 大腸のなかに便が残っていると、病変が便に隠されてしまって、見つけられないこともあります。このため、質の良い検査をするためには、2リットル程度飲んで頂くのが良いのですが、これも個人差があり、1リットル飲んで、すっかり大腸の中がきれいになってしまう方もあれば、3リットル位飲まなければきれいにならなかった方もいます。
- ええ~…たくさん飲むことになったらいやだなぁ…。
- どうしても飲めない方には、浣腸を併用してみたり、便が残っているのを覚悟で、検査を受けて頂くこともあります。でもその場合、小さい病変は見逃してしまう可能性があるので、期間をあけて、再検査をおすすめすることもあります。
- なんか、受ける自信がなくなって来ました…。
- 下剤や腸の洗浄液を飲んだり、楽とは言えない検査ですよね。けれども、大腸癌は、早期に見つけてしまえば、ほぼ100%治癒できます。大腸癌の前段階である、腺腫(一般的にポリープと言われています)のうちに切除してしまえば、日帰りか1泊2日の内視鏡手術で治療してしまえますし、そこから少し進んだ、早期癌の状態で見つかっても、今はお腹を切る手術をしないで、内視鏡を大腸に入れて、癌を削り取って完全に切除することができます。
- お腹を切る手術をしなくて済むんですか? 癌なのに?
- はい。医療は進歩しています。その恩恵を受けるためには、癌を早期に見つけることが大切なのです。
◆ Q&A3. 大腸内視鏡の検査は、どれくらいの費用がかかりますか?
- 大腸内視鏡の検査って、かなりお金かかりますか?
-
大腸内視鏡検査では、特に病変がなく、観察のみで終了する場合もあれば、鎮静剤を使用されたり、組織検査をされることもあるので、費用はその方によって変わります。それらを考えると、
・3割負担の方で、5,000円~13,000円程度
・1割負担の方で、1,700円~5,500円程度、となります。
(※当院での費用です。再診料を含みます。)大腸腺腫(ポリープ)が見つかった場合、当院では入院病床がなく、治療を行っておりませんので、治療のできる病院へ(ご希望の病院を指定して頂けます)ご紹介しております。